迷路のような海でいつのまにか一人ぼっちになってしまったら?

地上でも地図がなければ初めてのところでは迷います。それと同じで、海の中はまるで迷路です。しかも地上と大きく違うのは「波の力」です。

自分は同じ箇所で停止しているつもりでも海の中の波の力はとてつもなく大きいです。一瞬で数メートル~数十メートル流されます。うねりが強い時は注意をしてください。

ダイビングはインストラクターを中心に5~6名のチームで潜ることが一般的です。多くても10名までです。必ずバディと一緒になって潜りますが、やはり海の中は地上とは違う別世界ということもあり、夢中で生物の写真を撮ったり、地形を観察したり、ウミガメがいれば追いかけたくなります。インストラクターは今いる場所から移動するときは合図をしてくれます。例えばインストラクター自身の酸素タンクを金属の棒で叩くことで金属音を発し、それが移動の合図となることが多いです。しかし、写真撮影に夢中になっているとその合図を見逃してしまい、自分だけ取り残されてしまうこともあります。

また、大きな岩の下に隠れている生物もたくさんいます。そのため岩の下でその生物が顔を表すのを待っているうちに岩の上にいる他のメンバーたちが次のポイントへ移動しているなんてこともあります。

では、チームとはぐれてしまった場合どうすればいいでしょうか。

確かにゲージにはコンパスのついている物が多いですが、価格によってはコンパスがない物もあります。ライセンス取得時にはコンパスの使い方を習いますが、とにかく初心者にはややこしいので、なかなか覚えられないのが現状です。

海の中で方向感覚も分かりにくく、地形も似ているので、元来た道を戻るというのも初心者ダイバーには無理に近いことです。ベテランダイバーで、インストラクターを伴わずに自由にダイビングをしている人でも、自分が乗ってきた船に戻れないで別の船のところに行ったり、集合時間になっても現れなかったりすることなどもあります。

初心者がまずするべきことは2つあります。1つは、その場を動かないことです。インストラクターは途中で気づきますので、あなたを必ず助けに来てくれます。あなたが勝手に動いてしまうと、この広い海の中ではどうしようもありませんので、あなたはゆっくりと呼吸をしながら体力を使わずにその場でじっとしておいてください。

2つ目ですが、いつまで経ってもインストラクターが来てくれない時があります。その場合まずは5分その場で待機してください。それでも来ない場合は、自分でそのまま上に浮上をしてください。急浮上しなくても構わないのでゆっくりと浮上をし、海面より5m付近で安全停止を3分間行いそして海面に出てください。海面に出れば、シュノーケルに切り替えて酸素を使わないようにし、フィンを脱ぐことができればフィンを脱いで周りにアピールできるようにフィンを振ってください。フィンが自分で取れない場合は、声を出したり、手を振ったりしてしっかりとアピールをしてください。海面に出た際はBCDにエアをたっぷりと入れ、浮いていられるようにしてください。

そうすると誰かが気づきいてくれます。