ピンチ!あと数分で酸素がなくなってしまう

ダイビング中に起こって欲しくないのがエア切れです。初心者はダイビングに慣れていないためにエアを過度に使ってしまうこともあり、ダイビングが終わった後、酸素タンクのエアの残量を見て、ゾッとすることがあります。

エアを使いすぎる原因がいくつかあります。

一つ目は、呼吸速度が速すぎるということです。海に潜るとやはり地上とは環境が異なるため不安になったり、他のメンバーよりも自分は下手なのではないかと焦ってしまったりして自然と呼吸が速まってしまいます。呼吸は一定のリズムでゆっくりと吸って、吐いて、吸って、吐いてをしないと余計なエアを使いすぎることになります。

二つ目は、BCDのエアの量の調整の失敗です。エントリーした後海底でいったんBCDにエアを入れて中性浮力を保とうとしますが、そこでパワーインフレーターの給気ボタンを何度も押してしまい、BCDにエアを入れすぎることになるのです。

それではなぜエアを入れすぎるのでしょうか。実はBCDにエアを入れてもすぐには浮き上がりません。だいたい2秒後くらいから浮かび上がると言われています。しかし、初心者にとってはこの2秒が長いのです。エアを入れたらすぐに浮かび上がると思ってしまうので、自分が浮かび上がらなければ「エアが足りていないのかな」と思ってしまい、追加でエアを入れてしまうのです。

着底後だけではありません。海にはダイナミックな地形があります。海底18m付近から徐々に10mまで浮上し、新たな景色を見ることもあります。このように所々浮上しながら海の中でツアーをするので、「なかなか上に上がれない」と焦ってしまい、パワーインフレータからエアをどんどん足してしまい、結局エア切れ近くになります。

インストラクターは途中で全員のよエアの残量を確認します。エアの残量はゲージを見れば分かりますので、インストラクターに手を使って伝えてください。その状況でインストラクターは次のポイントに進むか、または引き返すか、極端な場合、エア切れしかけているダイバーだけを先に上がらせることもあります。

インストラクターも確認してくれますが、ご自身もこまめにエアの残量を確認してください。

では、実際にエアがなくなりかけている、またはなくなった場合はどうすれば良いのでしょうか。

絶対に焦ってはいけません。まずはインストラクターやバディに自分がエア切れであることをアピールしてください。首の前で手を開いて左右に手を動かしてください。これがエア切れの合図です。ダイビングではこのように声を出せない分、仕草で伝える言語があります。

バディは常にあなたの近くにいますので、いち早く異変に気づくはずです。バディは自分のオクトパスをあなたに差し出すので、あなたは自分のレギュレーターをはずし速やかにバディのオクトパスを装着し手ください。

ここであなたが絶対にしてはいけないことが3つあります。
一つ目は苦しいからと言って勝手に海面目指して急浮上してはいけません。減圧症にかかる可能性があります。二つ目はバディのレギュレーターを奪わないようにしてください。必ずバディのオクトパスを借りてください。三つ目は、エアがなくなったからと言って呼吸を止めて我慢することはしないでください。ゆっくりと自分の肺の中の空気を口をすぼめて出しながらエア切れのサインを送ってください。