なぜか浮き上がる、そんな時はこうするべし!

あなたが両手で壁を押します。すると壁は同じ力であなたを押し返します。もしあなたの力が強ければ、あなたは壁を壊すことになります。もし壁の方が強ければ(つまり硬ければ)、あなたはけがをします。何も起こらない状態、つまり押す力と押される力が同じ状態であることと「つりあっている」と言います。

これは水の中でも同じことです。ある物体を水に入れると、その物体は水に対して下向きの押す力が働きます。逆に、水はその物体を同じ力で上向きに押し返そうとする力が働きます。これが釣り合っている時が「浮きも沈みもしない」状態、つまり「中性浮力がとれている」状態であるとダイビングでは定義づけられます。

しかし、ダイビング初心者はこの中性浮力をとるのが難しく、ダイビング中に浮き上がったり、沈んでしまったりしてインストラクターやバディの助けが必要なる場面がよく見られます。

ダイビング中に浮き上がる場合は、あなたが軽い状態になっているということです。その原因は2つあり、1つは「エアの量が多い」、もう1つは「ウエイト」が適性ではないということです。

エアの量が多い場合は、BCDのエアを抜くことが大事です。エントリー時はエアをBCDに十分に入れます。そして潜行していくときに、エアを抜いていくのですが、潜行中にエアを抜く働きをするのが「パワーインフレ―たーホース」です。これはBCDと直結しており、「排気ボタン」「吸気ボタン」がありますので。それぞれのボタンを押しながらBCD内のエアを抜いていきます。パワーインフレーターを使う場合は、泳いだままの姿勢ではなく、やや立った姿勢で行い、左肩をあげてインフレーターホースを左手でもって上に伸ばして使います。こうすることでエアが抜きやすくなります。この作業を潜行中に行い、着底後はほんの少しだけエアを入れます。このときに、パワーインフレーターの吸気ボタンを軽く押すだけにします。これを何度も何度も押したりすると酸素タンクのエアがなくなるばかりか、BCDにエアが入りすぎて結局浮く原因となります。着底後、BCDに少しエアを入れた後は、呼吸で中性浮力を保ちながらダイビングを楽しんでください。

また、ウエイトの重さが軽すぎると浮いてしまいますので、自分にあった適切な重さのウエイトを選ぶようにしてください。ただ、どの重さが適正かはダイビングの経験にもよります。3kgという人もいれば、5kgという人もいます。インストラクターは予備のウエイトを持っているので、浮き上がる場合はインストラクターがウエイトを補充してくれます。

今度は、沈む場合について考えていきます。沈む場合はエアが少ない、またはウエイトが重すぎることが考えられます。そこで、パワーインフレーターを使ってエアを補充する必要があります。通常はパワーインフレーターで対応します。それ以外にも、インストラクターに手伝ってもらってウエイトをはずしてもらうという方法があります。